藤枝の朝ラー文化を18年にわたって支え続ける「森下そば店」。自家製麺のツルモチ食感と透明感のあるスープが特徴の本格ラーメンを提供しながら、建設業との兼業という異色の経営スタイルを貫く森下店主に、朝ラーの魅力と店舗のこだわりを伺いました。
18年の歴史を持つ藤枝の朝ラースポット

──このお店はいつから営業されているのですか?
森下さんそうですね、18年くらいになります。2000何年だったかな。この場所でずっとやってきました。
藤枝市内で長年営業を続けている森下そば店。創業から18年にわたり、地域の朝ラースポットとして多くの人に愛されてきました。
──開業のきっかけは何だったのでしょうか?
森下さん「瀧下らーめん」っていうラーメン屋さんが近所にあったんです。そこが好きで食べに行っていたんですけど、辞めちゃって。同じようなラーメン作れたらって思い、「森下そば店」を開業しました。
ご自分が通っていた好きなラーメン店の閉店がきっかけで、自らラーメン作りに挑戦。趣味から始まったラーメン作りが今では多くの人に愛される店となっています。
森下さん昔は建設業だったんです。今もそうなんですけど、両立してやっています。
森下さんは建設業と飲食店を兼業するという珍しいスタイルを取っています。朝は早くから店を開け、昼過ぎまでラーメンを提供し、その後は建設の仕事に向かうという生活を送っています。
森下さんみんな聞いてくるんですけど、ちゃんと寝てるかって(笑)
2つの仕事を両立させるために、通常とは異なる生活リズムを確立。限られた時間の中で建設業もラーメン店もどちらの仕事も妥協せずに取り組む姿勢が伝わってきます。
──「森下そば店」のラーメンへのこだわりを教えてください!

森下さんラーメンのこだわりはやっぱり麺は自家製で。つるもちっとした感じをなるべく出しています。
森下そば店の麺は自家製。ツルツルとした食感と適度なもちもち感が特徴で、スープとの絡みも抜群です。お客さんからは「麺の食感が他にない」と評判で、その独特の食感を生み出すために日々研究を重ねています。
森下さんスープは濁らせないよう沸騰させないようにしています。
スープは透明感を大切にし、沸騰させないように注意深く調理することで、あっさりしながらも奥深い味わいを実現。スープはあっさりなのに、味がしっかりしている。この絶妙なバランスが多くの人を魅了しています。また、なんといってもラーメンが美しい。この見た目も食欲をさらに掻き立てます。
──富士山の形をしたわさびも遊び心があって面白いです!

森下さんものすごく忙しい時は無理なんですけど、ちょっと手が空いてる時、そんなにものすごく並んじゃってない時なんかはちょっと勝手に。お客さんにもラッキーですねって。
冷やしラーメンに添えられるわさびをアートのように盛り付ける遊び心も森下そば店の魅力の一つ。「ちょうどわさびの緑色でお茶を表現し、静岡といえばの富士山をかざっています」と気さくに語る森下さんの人柄が伝わってきます。
ラーメン屋!?と思わせるおしゃれな店内デザイン

──おしゃれな店内デザインにもこだわりがありますね
森下さん昔はここお座敷のお店だったんです。いずれ娘とかがカフェなんかをできればなとか。一緒にやって娘はカフェ、私はラーメンみたいな感じでやれればいいかなと思っています。
店内はラーメン店としては珍しくカフェのような洗練された雰囲気。これは将来、娘と一緒に店を切り盛りしていきたいという森下さんの思いから生まれたデザインです。カウンター席だけでなくテーブル席も用意され、落ち着いた空間でラーメンを楽しめます。
本格的なコーヒーマシンやお酒も置かれており、通常のラーメン店とは一線を画す店内になっています。


──夜はどのように営業されているのですか?
森下さん夜はバルみたいな感じで、食事しながらお酒も楽しんでいただけます。サッカーの試合がある時はスポーツバーみたいな感じになるんですよ。ここでお酒飲みながらサッカー観戦ができます。
昼間はラーメン店として営業する一方、夜はスポーツバーとしての顔も持つ森下そば店。特にサッカーの試合がある日には地元のファンが集まり、大画面でサッカー観戦をしながら食事とお酒を楽しむ空間に変わります。
この多面的な営業スタイルは、地域のコミュニティ形成にも一役買っており、単なる食事処を超えた存在となっています。

全国に広がる地元藤枝の朝ラー文化
──藤枝の朝ラー文化についてどう思いますか?
森下さんだいぶ全国的になってきたんで、昔は朝からやってる店が少なかったですけど、今増えてきました。全国的に名前も浸透してきたので、いいことじゃないかな。
藤枝の朝ラー文化は地元の誇りであり、近年は全国的にも注目を集めています。朝早くからラーメンを提供する店が増え、「朝ラー」という言葉も広く認知されるようになりました。
森下さんは地元文化の広がりを肯定的に捉え、藤枝の朝ラー文化のさらなる発展に貢献したいと考えています。
森下さん関東の方に進出しようかなと考えていた時期もあったんですけど、ちょっと管理が難しいからやめたんです。でも県外にもあってもいいかなと思っていますね。
藤枝の朝ラー文化を県外にも広げたいという思いを持つ森下さん。過去には関東進出の考えもあったそうですが、現在は店の管理が難しいことから見送っているとのこと。しかし、いつか県外でも藤枝の朝ラー文化を伝える機会を作りたいと考えているようです。
知る人ぞ知る人気店の穴場の時間帯
──一日の中で特に混雑する時間帯はありますか?
森下さん朝が多いですね。その中でも、朝の10時11時の間っていうのは1番お客様が少ない時間帯なんです。
朝ラーを提供する店として、開店直後の朝早い時間帯とランチタイムは特に混雑するそうです。一方で、10時から11時の間は比較的空いており、ゆっくりと食事を楽しみたい方にはこの時間帯がおすすめです。
出勤前に立ち寄る常連客や、ランチタイムを狙って訪れるビジネスマンなど、時間帯によって客層も変わります。朝ラーを目当てに朝早くから来店する観光客も増えているそうです。

時間帯で変わるお店の表情—地元民に愛される森下そば店
森下そば店には、朝から夜まで様々な顔があります。朝には朝ラーを、昼はがっつりとしたランチメニューを、夜はお酒とともにサッカー観戦を楽しむ場として。
建設業と飲食店を両立させるという独自のライフスタイルを送る森下さんの情熱が詰まった店舗で、藤枝ならではの朝ラー文化を体験してみてはいかがでしょうか。訪れる時間帯によって異なる魅力を発見できる森下そば店は、藤枝を訪れた際には必ず立ち寄りたいスポットです。

| 店名 | 森下そば店 |
|---|---|
| 住所 | 静岡県藤枝市茶町4-19-1 |
| 営業時間 | 6:00~13:00 スープが無くなり次第終了 |
| 定休日 | 水曜日 ※不定休あり |
| 看板メニュー | しょうゆラーメン並 しょうゆ冷やしラーメン並 |
| 駐車場 | 有 |

