藤枝市の名物「朝ラーメン」。地元住民だけでなく、県外からもファンが訪れるこの食文化は今、藤枝パーキングエリア内の「麺処藤笑」からも発信されています。地元産しいたけの出汁にこだわった朝ラーメンを提供する店長大野さんに、その魅力と藤枝朝ラー文化の未来について語っていただきました。

藤枝の名産「しいたけ」を使った出汁

──藤笑さんイチオシメニューの「藤枝朝らーめん温・冷セット」について教えていただけますか?
大野さんまず、スープの特徴は藤枝椎茸振興協議会さんから仕入れたしいたけを使用していることです。このしいたけに昆布、鯖や鰹を合わせた風味豊かな出汁が、温かいラーメンと冷やしラーメン両方の基本となっています。
店長の大野さんは、地元藤枝の特産品を活かしたラーメンの出汁のこだわりを語ってくださいました。特にしいたけの風味が効いた出汁は、朝からでも胃に優しく、すっきりとした後味が特徴です。
温と冷、異なるスープのブレンドと伸びにくい平打ち麺
──温と冷、スープの違いを教えてください。
大野さん温かいラーメンと冷やしラーメンでは、スープの配合を変えています。冷やしの方も温かいものと同じ出汁をベースに使っていますが、それに別の種類の出汁を組み合わせています。それぞれに最適なブレンドを追求していますね。
温かいラーメンと冷やしラーメンで異なる出汁の配合にすることで、それぞれの食べ方に最適な味わいを実現している。特に夏場に人気の冷やしラーメンは、喉越しの良さとスープの旨味のバランスにこだわっているという。
──藤笑さんの麺の特徴を教えてください 。
大野さん麺は朝ラーメンに合う平打ち麺を厳選しました。当店はパーキングエリア内にあるため、お客様が麺を受け取ってから実際に召し上がるまでの時間が一般的なラーメン店より長くなります。そこで、伸びにくい麺を使用することにもこだわっています。
平打ち麺は出汁との絡みが良く、特に冷やしラーメンでは喉越しの良さを実感できます。時間が経ってもあまり麺が伸びず、ツルツルとした食感を楽しめました。
藤枝らしさをパーキングエリアの店舗にも

──朝ラーをメニューに導入した経緯を教えてください。
大野さん最初は朝ラーはメニューになかったんです。藤枝の名物を何か提供したいと考えた時に、朝ラーメンだろうということになりました。ただ、営業時間の都合もあり、朝8時から11時までの時間限定メニューとして提供しています。
地元の食文化を大切にしたいという思いから、朝ラーメニューの導入を決めたという。特に県外から訪れる観光客に藤枝の食文化を知ってもらうきっかけにもなっている。
──時間限定メニューの特別感について。
大野さん朝8時から11時までの限定メニューなので、それを目当てに来店されるお客様も多いです。前回食べられなかった方が、次は朝ラーを食べるぞと決めて来店されることもあります。藤枝に再訪される方の楽しみになれば嬉しいですね。
時間限定メニューという特別感も、朝ラーの魅力を高める要素になっている。土日は県外からの観光客が多く訪れるという。
本社は岐阜県恵那市。藤笑が藤枝に出店するまで
──お店の歴史を教えてください。
大野さん当店の歴史はそれほど長くはないんです。2014年の7月か8月頃に私たちの会社がこのパーキングエリアに入りました。レストランだけでなく、売店も運営しているんですよ。
開店から約10年と比較的新しい店舗ですが、藤枝パーキングエリア内の飲食店として多くの方に親しまれています。高速道路を利用するドライバーや観光客にとって、休息と食事を楽しめる大切な立ち寄りスポットとなっています。
──オープン後に店舗リニューアルとメニューの刷新があったそうですね。
大野さんはい。最初は岐阜県の日本料理風のラーメン店だったんですが、あまり受け入れられなかったんです。それで1年ちょっとで看板を変えて、メニューも刷新しました。その時に初めて朝ラーメニューを加えたんです。
店舗のリニューアルを機に、地域の特色を活かしたメニュー展開へと方向転換。その一環として朝ラーが加わったことで、地元の食文化を発信する役割も担うようになりました。

──藤枝を選ばれた理由とは?
大野さん当社は元々岐阜県恵那市に本社があり、中央自動車道の恵那サービスエリアも担当しています。恵那市の中に岩村町という地域があるのですが、ここと藤枝市が提携都市になっていたんです。そのご縁もあって、藤枝の商品も販売しやすい環境にあると考えました。
また、高速道路のサービス業のノウハウがあったので、この藤枝パーキングエリアでも活かせると思ったんです。
藤枝と岐阜県恵那市の意外な縁から誕生した『麺処藤笑』は、地域間交流が生み出した新たな食文化の発信拠点です。
藤枝朝ラー文化軒究会さんの認定取得のプロセスを経て

週末は観光客に人気。
──大野さんが朝ラー文化を知ったきっかけを教えてください。
大野さん実は私自身は静岡県出身ですが、藤枝出身ではないんです。朝ラー文化についても、ここに来てから初めて知りました。店舗リニューアルの際に、改めて藤枝について調べ、その時に朝ラー文化のことを知りました。
──朝ラー文化軒究会との関わり。
大野さん朝ラーメニューは正式に取り組みたいという思いから、藤枝朝ラー文化軒究会の認定を受けてからスタートしました。提供前には朝ラー発祥の店とされる「マルナカ」さんを訪れ、本場の味を実際に体験。朝ラー文化を尊重したメニュー開発を心がけました。
地域の食文化を尊重し、本格的な朝ラーを提供したいという思いから、文化軒究会の認定を受けるプロセスを大切にした。また、発祥の店に敬意を表して訪問するなど、地域の食文化を継承する姿勢が伺えます。
藤枝朝ラーの認知度向上にむけて
──朝ラー文化認知度の変化
大野さん朝ラーメンを提供し始めた10年くらい前は、検索してもあまりヒットしなくて、認知度も低いなと感じていました。でもここ3、4年は検索すると結構出てくるようになりましたし、藤枝のお店も多く検索結果に表示されます。認知度はだいぶ高まってきていると感じますね。
インターネット上での検索結果の変化から、朝ラー文化の認知度向上を実感しているという。SNSの普及なども影響し、地域の食文化が徐々に全国に知られるようになってきています。
──藤枝の朝ラー文化をさらに盛り上げていくためには、どのようなことが必要だと思いますか?
大野さんラーメンフェスのようなイベントがあってもいいのかなと思います。また、以前『朝ラーガチャ』というキーホルダーのガチャガチャが藤枝市で行われていましたが、ああいうのも続ければ認知度アップにつながると思います。メディア露出が全国的にはまだ少ないと感じるので、全国的に取り上げられるきっかけを作ることも大事だと思います。
地域のイベントやグッズ展開、そしてメディア露出の重要性を指摘。地域の食文化を全国に発信するためのアイデアを積極的に提案しています。

| 店名 | 麺処藤笑 |
|---|---|
| 住所 | 静岡県藤枝市中ノ合字衣原616-2-1 |
| 営業時間 | 8:00~22:00 ※志太系ラーメン提供は8:00~11:00 |
| 定休日 | なし |
| 看板メニュー | 藤枝朝らーめん温・冷セット |
| 駐車場 | 有 |

